台所の三角コーナーや観葉植物の鉢のまわりを、小さなコバエがふわふわ飛んでいる。追い払っても次の日にはまた増えている。賃貸暮らしの私も、何度たたいてもきりがなくて、本当にうんざりした経験があります。

やっかいなのは、飛んでいる成虫をいくら退治しても、見えないところに卵が産みつけられていると、すぐ同じ数だけ湧いてしまうことです。つまりコバエ退治の本丸は「今いる成虫」ではなく、これ以上コバエに卵を産ませないことにあります。入口をふさがないまま殺虫剤をまいても、その場しのぎで終わってしまいます。

この記事では、コバエがどこに卵を産むのかを種類別に整理したうえで、生ゴミや排水口、観葉植物といった産卵場所を一つずつふさいでいく方法を具体的にまとめます。産卵の入口を断てば、殺虫剤に頼らなくても自然と数が減っていきます。

  • コバエの繁殖力と、卵を産ませない対策がいちばん効く理由
  • ショウジョウバエなど4種類がそれぞれどこに卵を産むのか
  • 生ゴミ・排水口・観葉植物の発生源を断つ具体的なやり方
  • すでに産みつけられた卵や成虫をどう片づければいいか

コバエに卵を産ませる前に知りたい産卵の仕組み

対策の前に、コバエがどれくらいの勢いで卵を産み、どこを狙って産卵するのかを押さえておきます。ここが分かると、どの場所を優先してふさげばいいかで迷わなくなります。やみくもにスプレーをまくより、産卵の入口をつぶすほうがずっと早く静かになります。

コバエの繁殖サイクルと日数の図

成虫1匹が産む卵は500個以上という繁殖力

コバエ対策で最初に知ってほしいのは、その繁殖力のすさまじさです。家庭でよく見るショウジョウバエは、成虫になってからわずか3〜4日で産卵を始め、2週間から1か月ほどの一生のあいだに500個以上の卵を産むとされています。数匹いるだけでも、背後には想像以上の数の予備軍がひかえていることになります。

なぜこれほど増えるのかというと、コバエは一度にまとめて卵を産み、しかも産卵をくり返すからです。たった1匹のメスを見逃しただけで、数週間後には数百匹へふくれ上がる計算になります。「たたいても減らない」と感じるのは、退治する以上のスピードで卵が産み足されているからです。

具体的に考えてみます。朝に2〜3匹見かけて放っておくと、その間にも生ゴミや排水口へ卵が産みつけられ、数日後には一気に羽化します。見えている成虫はほんの一部で、本体は見えない卵とウジのほうにあるわけです。目に映る数で「まだ大丈夫」と判断すると、気づいたときには手遅れになりがちです。

もちろん、すべての卵が育つわけではありません。ただ、発生源さえ整っていれば次々に世代が入れ替わるので、産卵を止めない限り数は安定して増え続けます。逆にいえば、産卵場所をなくせばこの連鎖はあっけなく止まります。

だからこそ、成虫を追いかけるより、これ以上卵を産ませない環境に切り替えることが、遠回りに見えていちばんの近道になります。スプレーを握りしめて飛ぶ虫を追うより、発生源を1か所つぶすほうが、翌週の数にはっきり差が出てきます。

卵から成虫まで約10日で育つから放置が危険

もう一つ知っておきたいのが、コバエが育つスピードの速さです。産みつけられた卵は室温でおよそ1〜2日で孵化し、ウジ虫からさなぎを経て、早いものだと卵から10日前後で成虫になります。気温が高い夏場は、このサイクルがさらに短くなります。

この速さが、放置をいちばん危険にします。「数匹だから週末に掃除すればいい」と後回しにしているあいだに、卵はウジになり、さなぎになり、次の成虫が羽化して新たな卵を産みます。一週間あれば、世代がまるごと一回入れ替わってしまうのです。

たとえば金曜に見かけたコバエをそのままにして翌週末に掃除をすると、その一週間で産卵と羽化が進み、掃除する頃には倍以上に増えていることも珍しくありません。発見した日と対処する日が離れるほど、あとの手間は大きくふくらみます。先延ばしは、結局いちばん高くつく選択になります。

気づいたら不安になる方もいるはずですが、裏を返せば、サイクルが速いぶん発生源を断てば数が減るのも速いということです。卵とウジの居場所さえなくせば、新しい世代が育たず、今いる成虫が寿命を迎えると同時に自然に収束していきます。

ポイントは、見つけたその日のうちに発生源へ手をつけることです。たとえ5分でも、生ゴミを縛って出す、排水口をさっと洗うといった動きを即日やるだけで、数日後の増え方がまるで違ってきます。コバエ対策はスピード勝負だと覚えておいてください。

コバエの種類で産卵場所はまるで違う早見表

「コバエ」とひとくくりにされがちですが、家に出る種類はおもに4つで、種類ごとに卵を産む場所がまったく違います。産卵場所が違うということは、ふさぐべき場所も違うということです。まずは早見表で全体像をつかんでください。

コバエ4種類と産卵場所の一覧
種類 大きさの目安 おもな産卵場所
ショウジョウバエ 2〜3mm・黄赤色 生ゴミ、熟した果物、発酵した食品
チョウバエ 1〜3mm・黒くハート型の羽 排水口や浴室のヌメリ汚れ
ノミバエ 1〜2mm・黒褐色 腐った肉や食品、生ゴミ
キノコバエ 0.5〜4mm・灰黒色 観葉植物の湿った土、腐葉土

この表のとおり、台所に出るのか、お風呂に出るのか、鉢植えのまわりに出るのかで、犯人の種類と産卵場所の見当がつきます。見かける場所をヒントに種類をしぼり込むと、どこをふさげば卵を産ませずに済むのかがはっきりします。

見分けに自信がなくても心配はいりません。出る場所さえ分かれば、台所なら生ゴミ、水回りなら排水口、鉢のまわりなら土、と対策はほぼ決まります。くわしい見分け方や発生のしくみはコバエはなぜわく?発生源とウジ虫の正体を解説!でも整理しているので、あわせて確認してみてください。

種類別の特徴をもう少しくわしく知りたいときは、賃貸向けの住まい情報をまとめたアットホームのコバエ解説も参考になります。次の見出しから、種類ごとの産卵場所と断ち方を順に見ていきます。

ショウジョウバエは生ゴミと熟した果物に産卵

家の中でいちばん見かけるのが、黄赤色で2〜3mmほどのショウジョウバエです。この種は発酵したにおいに強く引き寄せられ、生ゴミや熟した果物に卵を産みつけます。夏場に台所でよく飛んでいるコバエは、たいていこの仲間だと考えて差し支えありません。

産卵場所になりやすいのは、三角コーナーの野菜くず、食べ残しや飲み残し、置きっぱなしのバナナやトマト、そしてビールや果実酒の空き容器です。これらは水分と糖分、発酵のにおいがそろっていて、ショウジョウバエにとって格好の産卵床になります。

見落としがちなのが、すすぎの甘い空き缶やペットボトルです。わずかに残ったジュースやお酒のにおいでも、コバエは敏感に見つけて寄ってきます。資源ゴミの袋を室内にためこんでいると、そこが産卵の拠点になってしまうことも少なくありません。シンクの排水口にたまった野菜くずも同じく狙われます。

「果物を置いておけないのは不便」と感じる方もいるはずですが、すべてを冷蔵しなくても大丈夫です。熟しすぎたものだけ早めに食べるか冷蔵庫へ移し、カゴにはフタ付きのカバーをかけるだけでも、においの広がりはかなり抑えられます。

対策の方向はシンプルで、発酵のにおいを室内に残さないことに尽きます。生ゴミはこまめに密閉し、果物は熟したら冷蔵庫へ、空き容器はさっとすすいでから捨てる。においの元を断てば、ショウジョウバエはそもそも卵を産む場所を見つけられなくなります。

チョウバエは排水口のヌメリに卵を産む

浴室や洗面所、トイレのまわりで見かける、黒くてハート型の羽をもつ小さな虫がチョウバエです。この種は台所よりも水回りを好み、排水口やパイプの内側にたまったヌメリ汚れに卵を産みつけます。あのぬるぬるした膜は、チョウバエの幼虫にとっての食料でもあります。

産卵場所になるのは、お風呂の排水口、洗面台の下、キッチンシンクの排水トラップ、そして洗濯機の防水パンまわりなど、湿気がこもって汚れがたまる場所です。ふだん目にしないパイプの内側で、気づかないうちに世代をくり返していることもあります。

チョウバエがやっかいなのは、発生源が配管の奥に隠れていて見えにくい点です。浴室をいくらきれいにしても湧いてくるときは、排水口の内部やその先の汚れが残っている可能性が高いといえます。衛生害虫としての性質や発生の仕組みは、京都市が公開するチョウバエの資料でも解説されています。

トイレでよく見るという方は、便器のふちの裏やタンクまわりの結露も疑ってみてください。水がたまって乾きにくい場所は、どこでもチョウバエの産卵候補になります。使っていない排水口があるなら、ときどき水を流してフタをするだけでも発生を抑えられます。

産卵を防ぐには、ヌメリを定期的に落として乾かすことが基本になります。排水口のネットやフタのうらもヌメリがつきやすいので、あわせて洗ってください。排水口まわりの掃除は後の見出しでくわしく扱いますが、「ヌメリを残さない」が合言葉だと覚えておくと迷いません。

ノミバエは腐った食品にすばやく産卵する

ショウジョウバエに似ていますが、少し小さく黒褐色で、ちょこまかとすばやく歩き回るのがノミバエです。飛ぶより歩くことが多く、腐った肉や食品、生ゴミ、ときにはペットのフンにまで卵を産みつけます。雑食で産卵場所の幅が広いぶん、見つけたら油断できない種類です。

産卵場所になりやすいのは、調理後に放置した肉や魚のパック、流し台の下にためたゴミ、ペットの食べ残しやトイレまわりです。ショウジョウバエが果物や発酵物を好むのに対し、ノミバエはたんぱく質系の腐敗を好む傾向があります。

動きがすばやいので、トラップにかかりにくいのもノミバエの特徴です。めんつゆトラップで思うように減らないときは、相手がノミバエである可能性があります。この場合は、成虫を狙うより発生源を断つことがいっそう大切になります。

衛生面でも気をつけたい種類で、腐ったものやフンに集まったあと食品に移ることがあります。台所でノミバエを見かけたら、調理台やまな板まわりを一度ていねいに片づけ、食べ物をむき出しで置かないようにしてください。発生源をなくすことが、そのまま衛生対策にもつながります。

対策は、たんぱく質系のゴミを室内にためないことが中心です。肉や魚のトレーはすすいでから捨て、ペットのフードは出しっぱなしにせず、トイレはこまめに片づけます。においの強い生ゴミほど早く密閉して外へ出すことで、ノミバエの産卵場所をなくしていけます。

キノコバエは観葉植物の湿った土に産卵する

鉢植えや観葉植物のまわりでふわっと飛ぶ、ごく小さな灰黒色のコバエがキノコバエです。この種は湿った土や腐葉土を好み、観葉植物の鉢の表面に卵を産みます。幼虫は土の中の有機物を食べて育つので、水やりが多い鉢ほど発生しやすくなります。

とくに産卵場所になりやすいのが、腐葉土や堆肥を多く含んだ培養土です。栄養豊富で湿り気が長く続く土は、キノコバエにとって居心地のよい産卵床になります。受け皿にたまった水をそのままにしているのも、湿り気を保ってしまう原因です。

観葉植物のコバエで悩む方は多いのですが、ここも考え方は同じで、産卵しやすい湿った土をなくすことがポイントです。土の表面がいつもしっとりしていると、いくら成虫を退治してもまた産みつけられてしまいます。買ってきた苗の土にすでに卵が入っていることもあります。

大切に育てている植物に薬剤を使いたくない、という方も多いはずです。まずは土の管理だけでも効果は十分に見込めるので、薬剤は最後の手段と考えて問題ありません。

防ぐコツは、土の表面が乾いてから水をやるようにして、鉢の中をいつも湿らせっぱなしにしないことです。表面を赤玉土やバーミキュライトなどの無機質の用土で覆うと、卵を産みつけられにくくなります。室内に複数の鉢がある場合は、どの鉢から湧いているかを一つずつ確かめると発生源を特定しやすくなります。

コバエに卵を産ませない具体的な対策

ここからは、産卵場所を一つずつ断っていく実践編です。コバエは生ゴミ、排水口、観葉植物、そして屋外からの侵入という入口から入ってきます。すべてを完璧にする必要はなく、自分の家で当てはまる場所から順にふさいでいけば、産卵の勢いは確実に落ちていきます。

卵を産ませない4つの対策の図

生ゴミを密閉して毎日出し台所の発生源を断つ

台所のコバエ対策で最優先なのが、生ゴミの管理です。ショウジョウバエもノミバエも、発酵や腐敗のにおいをたどって生ゴミに卵を産むので、においを閉じ込めて早く家の外へ出すことが、産卵をいちばん効率よく止める方法になります。

やり方としては、三角コーナーに生ゴミをためこまず、その日のうちにポリ袋へ入れて口をしっかり縛ります。水気が多いとにおいも腐敗も進みやすいので、軽く水を切ってから捨てるとより効果的です。袋は二重にすると、においがもれにくくなります。

ゴミ箱はフタ付きのものを選び、内側についた汚れも定期的に洗っておきます。フタがあってもすき間からにおいがもれると寄ってくるので、パッキン付きのものだとより安心です。可燃ゴミの収集日まで日数があるときは、生ゴミだけ袋をしばって冷凍しておくという手もあります。

「毎日しばって出すのは面倒」と感じるかもしれませんが、専用の防臭袋を使えば数日ためても産卵されにくくなります。生ゴミ用のポリ袋を一つ用意しておくだけで、作業はぐっと楽になります。自分が続けやすいやり方を選ぶのがいちばんです。

こうして発酵のにおいを室内からなくすと、コバエは産卵場所を見失います。殺虫剤を1本買うより、生ゴミの出し方を変えるほうが、長い目で見れば台所のコバエをぐっと減らしてくれます。手早く始められるところから取り入れてみてください。

排水口のヌメリを落とし熱湯で卵ごと仕上げる

チョウバエやノミバエの産卵を防ぐ要になるのが、排水口のヌメリ対策です。あのぬるぬるは汚れと微生物がまじったもので、幼虫のエサであり産卵床でもあります。ヌメリを落として乾いた状態に近づけることが、水回りで卵を産ませない最大のコツです。

掃除の頻度は週に1〜2回を目安にして、ブラシや古歯ブラシで排水口のフタ、ゴミ受け、その内側のぬめりをこすり落とします。パイプの奥はパイプクリーナーを使うと、見えない部分の汚れまで分解できます。汚れをためないことが、何よりの予防になります。

仕上げに効くのが熱湯です。50〜60℃ほどのお湯を排水口に流すと、残った卵やウジ、さなぎを弱らせることができます。ただし熱すぎる湯は塩ビの配管を傷めることがあるので、沸騰したての熱湯をそのまま大量に流すのは避け、少し冷ましてから使うと安心です。

重曹とクエン酸を使う方法も、薬剤のにおいが気になる方には向いています。排水口に重曹をふりかけ、クエン酸を溶かした水を注ぐと泡立ってヌメリが浮き、こすらなくても汚れが落ちやすくなります。仕上げにお湯で流せば、ふだんの掃除がぐっと楽になります。

ハイターなどの塩素系漂白剤を使う方法もあり、くわしくはコバエ駆除にハイターは効く?正しい使い方を解説!で扱っています。いずれの方法でも、ヌメリを残さず乾かすという基本は変わりません。排水口を清潔に保てば、チョウバエは産卵の拠点をなくしていきます。

観葉植物は土を乾かし用土を替えて予防する

キノコバエの産卵を防ぐには、鉢の中の環境を変えるのがいちばんです。幼虫は湿った有機質の土で育つので、土を乾かし気味に保ち、栄養と水分がこもりにくい用土へ切り替えることで、卵を産ませない鉢に近づけられます。

まず見直したいのが水やりのタイミングです。土の表面が乾いてから水をやるようにし、受け皿にたまった水はそのつど捨てます。いつも湿っている状態をなくすだけで、キノコバエにとっての産卵床はかなり減ります。

次に、鉢土の表面を赤玉土やバーミキュライト、化粧砂などの無機質の素材で1〜2cm覆う方法があります。表面が乾いた無機質の層になると、成虫が土に潜って卵を産みにくくなり、見た目もすっきりします。腐葉土の多い培養土が気になるときは、植え替えのタイミングで水はけのよい土に替えるのも手です。

すでに土から湧いているときは、表面の土を2〜3cmほど取り除いて新しい無機質の土に入れ替えると、産みつけられた卵ごと減らせます。鉢を一度屋外に出して、しっかり乾かしてから戻すのも効果的です。

大切な植物に薬剤を使いたくない方もいるはずですが、まずは土の管理だけでも効果は十分に見込めます。どうしても減らないときだけ、観葉植物にも使える専用の殺虫剤を部分的に足せば十分です。鉢の湿り気をコントロールすることが、キノコバエを寄せつけない土づくりの第一歩になります。

窓や網戸のすき間をふさいで侵入を止める

家の中の発生源を断っても、屋外から成虫が入ってくれば、そこでまた卵を産まれてしまいます。侵入そのものを減らすことも、産卵を防ぐ対策の一つです。とくに気温が上がる季節は、外からの飛び込みがぐっと増えます。

コバエはとても小さいので、網戸の目のあらさによってはすり抜けてきます。網戸と窓枠のすき間、戸袋のまわり、換気口なども入口になります。網戸がきちんと閉まっているか、やぶれやすき間がないかを一度確かめてみてください。細かい目の網戸に替えると、小さなコバエの侵入をかなり防げます。

玄関やベランダの開け閉めのときに入ってくることも多いので、明かりに寄ってくる夜は特に手早く開け閉めするとよいでしょう。ベランダに生ゴミやコンポストを置いている場合は、そこが屋外の発生源になって室内へ流れ込んでいることもあります。

網戸用の虫よけスプレーや、吊り下げ式の虫よけを窓辺に使うと、侵入をさらに減らせます。薬剤に頼りたくない場合でも、すき間をふさぐ、網戸を点検するといった物理的な対策だけで十分に数は変わってきます。

すき間をふさぐのは地味ですが、入ってくる数を減らせば、室内で産卵される機会もそのぶん減ります。発生源対策と侵入対策は車の両輪のようなもので、両方そろって初めてコバエの悪循環が止まります。できる範囲で入口を小さくしていきましょう。

果物やお酒や空き容器を出しっぱなしにしない

最後に見落とされがちなのが、食べ物や飲み物の置きっぱなしです。コバエは発酵や熟成のにおいに強く寄ってくるので、常温に出した果物やお酒、すすいでいない空き容器は、格好の産卵場所になってしまいます。

とくに注意したいのが、追熟中のバナナやトマト、桃などの果物です。熟すほどにおいが強まり、コバエを呼び寄せます。食べきれないぶんは袋に入れて冷蔵庫へしまうか、カゴにフタをするなどして、においが広がらないようにします。

飲みかけのジュースやビール、料理に使ったみりんや酢のボトルの口なども、においの発生源になります。空き缶やペットボトルは中をさっとすすいでから捨て、資源ゴミを室内にためこまないようにすると、産卵の拠点をつくらずに済みます。

ぬか床や果実酒を仕込んでいる家庭では、それ自体が強いにおい源になります。フタをしっかり閉め、まわりをこまめにふくだけでも、コバエが寄りつく回数は減っていきます。においの出るものには「必ずフタ」を習慣にしておくと安心です。

こうした小さな習慣の積み重ねが、コバエに「産む場所がない」と思わせる環境につながります。神経質になりすぎる必要はありませんが、においの出るものを出しっぱなしにしないという意識があるだけで、台所まわりの産卵リスクは大きく下がっていきます。

すでに産みつけられた卵と成虫への対処法

予防を始めても、すでに産みつけられてしまった卵やウジ、飛んでいる成虫はどうすればいいのかが気になるところです。ここは、今いる数を減らす駆除と、これ以上産ませない予防を同時に進めるのがコツになります。

すでにある卵やウジには、発生源ごと取り除くのがいちばん確実です。生ゴミなら袋に密閉して処分し、排水口なら前述のとおりヌメリを落として熱湯で仕上げます。土から湧いているなら、表面の土を取り替えると産みつけられた卵ごと減らせます。

飛んでいる成虫には、めんつゆと水、食器用洗剤を数滴まぜたトラップが手軽です。においにつられて寄ってきた成虫が洗剤の作用で沈みます。置いたトラップは1週間ほどで処分し、新しいものに替えてください。作り方のコツはコバエトラップの作り方は?効く材料と置き方を解説!にまとめています。

すぐに数を抑えたいときは、市販のワンプッシュ式スプレーや置き型の捕獲器を併用すると効率が上がります。幼虫にも効くタイプの薬剤を選ぶと、成虫と卵の両方に働きかけられます。ただし、これらはあくまで今いる成虫への対処で、発生源が残っていればまた湧きます。

駆除で数を落としつつ、産卵場所を断つ予防を続けることが、最終的にコバエを断ち切る近道です。ALSOKのコバエ対策の解説でも、予防と駆除を合わせて行う考え方が紹介されています。あせって殺虫剤だけに頼らず、発生源づくりをやめることをセットで進めてください。

排水口のヌメリ対策の手順図

コバエの産卵対策に関するよくある質問(FAQ)

Q1. コバエは一度の産卵でどれくらい卵を産みますか?

A. 種類によりますが、ショウジョウバエは一生のあいだに500個以上の卵を産むとされています。成虫になって3〜4日で産卵を始め、産卵をくり返すため、1匹を放置するだけで数週間後には数百匹へ増えることもあります。だからこそ、成虫を退治するだけでなく、これ以上産ませない環境づくりが欠かせません。

Q2. 産みつけられた卵は熱湯で退治できますか?

A. 排水口など耐熱性のある場所なら、50〜60℃ほどのお湯をかけることで卵やウジを弱らせられます。ただし沸騰したての熱湯を大量に流すと塩ビの配管を傷めることがあるので、少し冷ましてから使うと安心です。熱に弱いプラスチックや塗装面には使わないようにしてください。

Q3. 観葉植物のコバエに卵を産ませない方法はありますか?

A. 土を乾かし気味に保つのが基本です。表面が乾いてから水をやり、受け皿の水はそのつど捨てます。鉢土の表面を赤玉土やバーミキュライトなどの無機質の素材で覆うと、成虫が土に潜って産卵しにくくなります。腐葉土の多い用土が気になるときは、水はけのよい土への植え替えも効果的です。

Q4. 殺虫剤を使わずにコバエを増やさないことはできますか?

A. 可能です。コバエは生ゴミ、排水口のヌメリ、観葉植物の湿った土といった産卵場所がなければ増えられません。これらをこまめに掃除し、においの出るものを密閉して屋外からの侵入も減らせば、薬剤に頼らなくても数は自然に落ち着いていきます。どうしても減らないときだけ、部分的に薬剤を足せば十分です。

Q5. 発生源がどうしても見つからないときはどうすればいいですか?

A. コバエは発生源の近くを行き来する習性があるので、よくとまる場所や集まる一角を観察すると、産卵場所の見当がつきます。台所、排水口、観葉植物、ゴミ箱の順に一つずつ確かめるのがおすすめです。複数の場所が同時に発生源になっていることもあるため、一か所だけで判断せず、心当たりを順にふさいでいくとよいでしょう。

Q6. 冬でもコバエは卵を産みますか?

A. コバエの産卵は気温20℃以上で活発になるため、屋外では寒い時期に数が減ります。ただし暖房の効いた室内や、台所まわりの温かく湿った場所では、冬でも産卵と繁殖が続くことがあります。「寒いから大丈夫」と油断せず、暖かい部屋では一年を通して生ゴミや排水口の管理を続けることが、冬の発生を防ぐポイントになります。

まとめ|コバエに卵を産ませない暮らしへ

コバエ対策でいちばん大切なのは、飛んでいる成虫を追いかけることではなく、これ以上コバエに卵を産ませないことです。1匹が500個以上の卵を産み、10日ほどで次の世代が育つ以上、産卵場所を断たない限りいたちごっこは終わりません。

ショウジョウバエは生ゴミと熟した果物、チョウバエは排水口のヌメリ、ノミバエは腐った食品、キノコバエは観葉植物の湿った土と、種類ごとに産卵場所は決まっています。見かける場所から種類の見当をつけ、生ゴミの密閉、排水口のヌメリ落とし、鉢土の乾燥、そして屋外からの侵入防止を、できるところから進めていきましょう。

発生源を一つずつふさいでいけば、新しい卵が育たなくなり、今いる成虫が寿命を迎えると同時に数は自然と減っていきます。殺虫剤はあくまで補助と考え、産ませない環境づくりを暮らしの習慣にすることが、コバエの悩みから解放されるいちばんの近道です。

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